山の民とは、キングダムの中で登場する民族の一部です。
活動の拠点を山に置いているというところから、山の民と呼ばれています。
もともと中国にはたくさんの山があり、春秋戦国時代にも山に住んでいた部族がいたことは想像に難くありません。
その上、中国の史実にも山の民が実在したことを裏付ける情報もいくつか発見されています。
映画のキングダムの中でも、秦国の若き王、嬴政(えいせい)が王宮を取り戻すために山の民に協力を依頼して仲間として一緒に戦う部族として登場しました。
今回は山の民についての史実、キングダムでの主要な山の民の一族、山の民の強さの理由についても考察していきます!
キングダムのオリジナル要素が炸裂する山の民一族

山の民の一族は、春秋時代の頃の中国の一大勢力だったようで、独自の文化を持っていた部族だったと言われています。
山の民と言う部族名らしい容姿して、彼らは筋骨隆々な体をしており、石でできたハンマーや独自な独特な武器を使ったりと、非常に野生的で荒々しい戦いぶりをキングダム作中で見せつけてくれます。
みんな独特のお面をかぶったり独自の衣装を身につけています。
山の民の王だった楊端和(ようたんわ)も、本当は山の民出身でなく秦国の将軍で、女性でなく男性の説が高くなっています。
山の民のモデルとなった『岐下三百人』

キングダムにおいて、各巻でも大活躍をする山の民一族で、漫画の作中では山の民の王、楊端和、を中心に、バジオウ、タジフ、シュンメン等が活躍していますね。
山の民のモデルになったのは、史実の中では、韓原(かんげん)の戦いで晋軍に囲まれた秦の穆公(ぼくこう)をギリギリの窮地の中を助け出した、
『岐下(ぎか)の善馬(ぜんば)を喰らいし三百人』
として登場してきます。
この三百人はもともと遊牧民で、穆公の飼っていた馬を捕えて食べる生活を繰り返していました。
これを知った秦の人々は怒り、罰則を下す様に穆公に申し立てしましたが、
「生きるために畜生を食べても、人は傷つけてはいけない。肉を食べ、酒を飲まないと健康を損ねると聞いている」と言い、むしろ馬肉に合う酒を、その三百人に与えたのでした。
三百人はこの時の穆公の恩義を報いる為に、韓原の戦いで穆公が追い込まれた時に援軍しました。
周王朝の末裔でもある岐下の三百人
この岐下の三百人は、単なる野性的に暮らす遊牧民族ではありませんでした。
実は彼らが暮らしていたとされる岐山は、周王朝の発祥地でもあったのです。
周太王が岐山(きざん)の麓に拠点を置いた以降は、周平王が東の洛邑(らくゆう)に都を遷す400年もの間、岐山は西周の中心となっていました。
また、青銅器の出土品も多く発見されており、三百人は遊牧民でしたが山の民みたいに半裸で仮面一丁という野生的な格好ではなく、それなりにしっかりした装備類を身に着け戦っていた武装集団だったかとも伺えます。
穆公も、彼らの事を周王朝の末裔として寛大に観ていたのかも知れません。
多彩な部族が勢揃い!楊端和率いる山の民軍まとめ
山界の死王の異名をもつほどの武力的強さを誇る楊端和は、様々な山間民族を仲間に加える事に成功しています。
楊端和自身が武力行使を好み、戦いに勝っては、その後相手を仲間として受け入れる事を繰り返すので、楊端和の元には異民族がどんどん増えていきます。
内訳としては、自身の直下軍の他に多数の部族をそれぞれ軍として使っています。
山間民族は、各部族ごとに多彩な特色があって、得意戦術も様々ですね。
今回は、主要な活躍を見せた部族のみを紹介します。
楊端和の直下軍

楊端和の元に最も近い直下軍のメンバーには、バジオウやタジフ、ランカイなどがおり、それぞれが屈強な攻撃力を持っています。
最初はこの軍から山の民軍が始まって、バジオウやタジフは小さい時から楊端和の下で付付き従っていました。
彼らは軍全体をマネジメントする役を担い、仲間内などのいざこざの仲介役なども行っていたので軍の中でも主力艦隊となり先頭に立つシーンも多く登場します。
最速の機動力を持つ『鳥牙族』

楊端和軍の直轄であり、最速の動きを誇るのが鳥牙族です。
楊端和の側近であるシュンメンがリーダーとして活躍しています。
乗馬での速攻戦を最も得意とし、 最強の機動力を見せつけてくれますね 。
正面突破が得意な『フィゴ族』

楊端和の直下兵以外の強さを誇るのがフィゴ族で、全員が顎を突き出したような仮面をつけ、て藁の襟巻きをかけているのが特徴です。
ガタイがしっかりして体も大きめの彼らは、正面突破を得意とします。
大王ダントが一番前に出て攻撃して多少の犠牲をものともせず猛烈突進する戦い方が彼らのやり方です。
ダントは楊端和軍でもかなりの戦闘能力を誇り、大海軍の将軍トアクをあっという間に倒してしまいます。
一角獣の角やマントが特徴的な『メラ族』

メラ族は楊端和軍の中でもメインの戦力となる強い民族です。
一角獣の角と刃のあるマスクをかぶり、マントをつけて戦います。
山の民軍は一般的に鎧はつけませんが、メラ族は胴体に鎧をつけ、うねった剣などを用い、犬戒族(けんじゅうぞく)と互角に戦える戦闘力を持ちます。
カタリ族長が戦死したので、キタリがその跡を継ぐ事となりました。
素手で崖をも這い上がる『猿手族』

猿手族(えんしゅぞく)は山登りが得意で城を攻め落とす際に能力を発揮する一族です。
ほとんど垂直な壁から素手で登って予想もできないところからの奇襲攻撃を得意とします。
名前からもわかるように木登りなどをして獲物をとる猿のような生活だったのかもしれません。
リーダー格の青猿と赤猿は武器を何も持たず敵をなぎ倒すツワモノです。
族全体の奇襲能力と個人能力の高いリーダー格のタッグで戦いに相乗効果をもたらします。
乗馬での戦闘力では群を抜く『飛馬族』

飛馬族(ひうまぞく)は山間民族の間でも特に馬での戦闘を得意とする一族です。
その名の通り、馬の走るスピード感が伝わってくる描写がたくさん登場します。
信じられないこと早く駆け抜け逃げ回る敵の追撃していきます。
想像以上に早いので早く動けるので方向転換する必要なく速さのみで八尾かわして突き進むことができるほどです。
武器は矛のようなものを使って馬上の戦いのみに特化している活躍を見せてくれます 。
遠距離でも正確に弓矢で標的を射貫く『鳥加族』

鳥加族(ちょうかぞく)は、弓を得意とする一族です。
たとえ遠距離からでもほぼ正確に敵を射抜く能力を持っています。
防御力も高く、単に攻撃するだけではなくしっかり盾も併用して戦う能力があります。
鳥のトサカのようにてっぺんから毛が出ている仮面も印象的です
普段は鳥を弓矢で狩り、自分たちの食料にしていたと思われます。
嗅覚では右に出る者がいない『知多族』
知多族(ちたぞく)は、嗅覚が非常に発達した一族です。
敵の領地の隠された部屋などを嗅覚で見つける能力があるので 特に功城戦などで威力を発揮します。
普段から嗅覚を使って自分達の獲物をハントするのが習性だったようです。
また仮面も鼻が塞がれない作りになっており、仮面をつけた状態でも嗅覚を存分に発揮できるようになっています。
獣毛を全身にまとう中華の天敵『犬戒族』

犬戒族(けんじゅうぞく)は、名前の通り動物の毛皮をまとう獰猛な一族です。
しかも過去には周王朝をも壊滅させていて、中華の天敵と恐れられている一族でもあります 。
馬術もアクロバティックで断崖を平気で降りたり、馬で飛び跳ねることさえあっさりとやってのけます 。
武力的強さは鳥牙族をも圧倒する強さで、シュンメンも一度彼らとの戦いに破れました。
ゾロ王も破れて楊端和に降伏し、山の民の援軍になることを約束し傘下に収まりました。
まだ他の一族とは互いに自分の意見を強く主張して譲らない面がありますが、楊端和軍の主力になるのは時間の問題となるでしょう。
他にも、様々な異名、別名を持つ一族などがキングダムの色んな巻で登場します。
今後もまだまだまだ新たな部族が登場するかもしれませんのでこれからもキングダムの動向を楽しみにしていきたいものですね!
山の民の強さの理由とは?

そもそも、山の民はどうして強いのでしょうか?
これは、山の民が岐下の三百人をモデルにされていると捉えると腑に落ちます。
この岐山の南は海抜2000~3000メートル級の山々が無限に散らばる秦嶺山脈です。
その中でも最高峰の太白山は3767メートルにも及びます。
このような高地に暮らしているうちに自然に身体全体が鍛えられ、少ない酸素でも元気に活動できるように肺活量が強くなっていったと考えられます。
なので平地の人間では不可能としか言えないようなスピードとスタミナを山の民が持っていたのは決して絵空事とも言い切れないでしょう。
世界にも同様の事例があり、例えばメキシコの峡谷に住むタラウマラ族は世界一の持久力を持つ民族とも言われています。
専門家の研究によると、500キロから700キロを一気に走る能力もあるそうです。
このように、高地の環境が屈強の人間を造る事例がある事から、もともと人間にはそれだけの身体能力を持つ潜在パワーがあるのですね!
まとめ
キングダムに登場する山の民のモデルとなった三百人を紹介しました。
わずか三百人で晋の兵を追い払った武勇伝、恩義に必ず報いる義理人情に、私たちが忘れかけていたものを思い出させてくれます。
外見については史実に記述がないので、あくまでキングダムの山の民の見た目は創作と思われますが、そこはエンタメ作品として楽しめば良いと感じます。
いずれにしても山の民から学んだのは、
「人は環境次第でどんな人間にも変化する」事でした。
私たちも、目指したい人物像がいたら、まずは見た目からマネしていったりするのも有効かも知れませんね!
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